2009年11月28日土曜日

激論ムック最新号

【激論ムック最新号】ついに一線を越えた高金素梅

激論ムック・最新号「迷走日本の行方」より転載(書店販売中)

「台湾の声」編集長 林建良(りんけんりょう)

 2009年8月11日、原住民枠で選出された台湾の国会議員高金素梅やその配下が、土足で靖国神社の本殿に登り、ハンドマイクで「先祖の霊を返せ」と騒いだ。この不埒な行動を阻止しようとする老齢の守衛がもみ合いの中で軽傷を負ったが、一行はこの犯罪行為を日本政府に追及されることもなく、抗日勝利宣言までした。その直後、高金素梅は北京に行き、胡錦濤に「台湾少数民族による外来侵略勢力への不撓不屈の闘争」と称えられた。

 日本人が中国の慰霊施設でこのような騒ぎを起こしたら、どうなるのか。中国からなんの咎めもなく意気揚々と日本に戻れるのか。日本政府になんの抗議もなく、外交問題にも発展しないですむのか。これは絶対あり得ない。中国だけでなく、どんな国でも慰霊施設で狼藉するうな行為は到底許されることではない。しかし、世界の常識ならあり得ないことが、日本では現実に発生したのだ。



●まず、高金素梅とは何物か。


 その名が日本で知られるようになったのは二〇〇二年だった。靖国神社に「先祖の霊を返せ」と抗議したことをNHKが大々的に報道したことをきっかけに注目された。その翌年、彼女は靖国神社とそこを参拝した日本の首相を相手に「苦痛を与えられた」として訴訟を起し、日本のマスコミが「反靖国台湾国会議員」を扇情的に取り上げたお陰で、彼女は一気に有名になった。

 今や反靖国のシンボルになった彼女は二〇〇二年まで、靖国神社の「や」の字も知らなかった。靖国問題という政治テーマを教えたのは日本人たちであった。靖国神社に無知だった彼女が、日本の左翼の誘いに飛びついて反靖国活動を開始したのだ。

 高金素梅の母親は台湾原住民のタイヤル族だが、父親は戦後台湾渡ってきた中国人の軍人である。中国人の軍人は台湾人を大量に虐殺した一九四七年の二二八事件の加害者としてのイメージが強いため、台湾人に嫌われている。彼らは中国人意識が強く、人生の大半を台湾で過ごしながら、台湾人ではなく中国人であると強く主張している。そのために台湾で生まれ育った彼らの子供たちも、高金素梅のように台湾人としての意識は薄く、中国人としての意識が強烈だ。

高金素梅は高校卒業後、すぐ芸能界に入り、タレントとして活躍した。しかし、芸能活動よりもスキャンダルが彼女を有名にした。数々の不倫騒動からスキャンダル・クイーンのあだ名をマスコミに付けられ、しばしばワイドショーや週刊誌のタネにされた。今回も政治家との不倫騒動の真っ最中での来日であった。

タレント時代の彼女は、「金素梅」の名前で芸能活動を行い、中国人だと自分のことを強調していたが、比較的に当選しやすい原住民枠で立候補するため、彼女はタイヤル族である母親の苗字「高」を加えて、高金素梅としたのである。

今回の騒ぎの企画立案者でもある高金素梅の側近の張俊傑は中国との繋がりが深く、台湾を中国に併合させることを目的とする組織「中国統一聯盟」の前幹事長でもある。張氏は以前から、原住民を中国に送り込んで中国の政治イベントに参加させたり、台湾原住民に「統一思想」と「中国人意識」を植え付けるなど、明らかなる中国の協力者である。こうして原住民の身分を利用して起こした一連の「抗日騒ぎ」は、タイヤル族のためではなく、ましてや台湾のためでもない。それは彼女を利用した親中反日左翼の新たな手口であるのだ。

●台湾を利用する中国の「抗日迂回戦略」

 胡錦涛政権は江沢民時代とは違って、微笑外交で日本に接近するよう方針転換をした。実際、胡錦涛に強い影響力を持つとされる時殷弘・中国人民大学国際関係学院教授は、「対日接近は最も必要であり、中国の安保、外交環境の改善に価値ある『迂回戦略だ』」(『戦略と管理』二〇〇三年二月号)と述べている。対日接近を「迂回戦略」と考えているのだ。高金素梅のような「反日台湾人」を利用して靖国と歴史のカードを切り続けるのもその一環だ。反日の基本路線に変更なしと言うことだ。

 中国は、周辺諸民族を支配下に置かなければ、満足する国ではない。その長年の悲願とは一度も支配下に置いたことのない「東夷日本」を完全に支配することだ。日本に仕掛けている中国の全面戦争の兵器は、核ミサイルや日本領海でうろちょろしている潜水艦だけでない。日本人が理解しなければならないのは、日本内部の親中左派勢力こそが日本の国力と財産を根こそぎ奪い取る中国の尖兵だということだ。一連の靖国問題を「台湾人」に関与させ、手引きしてきたのが日本人であることも、その象徴的事例なのだ。

●親中左派の跳梁と保守の無能


 日本の親中左派勢力は確実に戦果をあげつつある。民主党親中左派政権の誕生も、最たる戦果と言えよう。裏返してみれば、これは保守派のだらしなさの証明にもなろう。親中左派が中国と連携して教育、マスコミ、芸能界、労組に手を伸ばしていることを座視しているのではないか。更にひどいのは、自民党保守政権も中国に媚びていたことだ。安倍、福田、麻生政権が発足当初から靖国神社参拝しないと言明したのも、媚びの心理が働いていたと言える。そもそも国の為に犠牲になった英霊を慰めるかどうかを、外国の顔色をうかがって決める必要がどこにあるのか。自民党政権内部に蔓延るエセ保守は親中左派以上に中国に媚び、極秘情報まで売り渡すという無様な事態になっている。

 中国の対日内政干渉には、絶えず日本国内の左翼グループが援護射撃を行ってきた。その結果、中国の代理人となった親中左派が各界に盤踞し、内部から日本を崩壊させられるほどの力を持つようになった。台湾にも原住民を反日の尖兵にして靖国に代理戦争を仕掛けることは攻撃力を増強しながら、台湾と日本を離間させるという一石二鳥の戦術でもあるのだ。そのような内外から挟み撃ちのできる態勢はほぼ完成に近づいている。手を汚さず、日本を落城させる戦略の端倪は、この高金素梅による騒ぎでみることができる。

●思想のない親中左派思想


 左派思想とは、公よりも私を優先させる自由と人権を擁護する思想であるはずだが、戦後日本の左派は、元々自由人権と個人の権利が保障されている日本で人権思想や個人主義を吹聴する一方、中国の一党独裁や専制統治になんの異論も唱えていない。靖国に執拗に攻撃していることも然り。反戦と訴えながら、過去の軍国主義に攻撃しておきながら、現在進行中の中華覇権軍国主義に目をつぶっている。彼らの運動は本質的には中国に対する事大主義だけなのである。事大主義に走ること自体、すでに彼らが権力志向になっていることを意味しよう。つまり、日本の左派とは左派思想のない左派で、日本という国を崩壊させるだけを目的としているのだ。しかし、これほど空疎な思想に基づく勢力に連戦連敗の保守もどうかしている。

●酷似する日本の「反日」と台湾の「反台」


 実を言えば、国の裏切者や、それを放置する国民と、それを後押しするマスコミの存在など、日台両国の社会状況は極めて似ている。日本の「反日」と台湾の「反台」の両勢力は、思考、行動パターンがほぼ同じだ。どちらも、よく似た戦後思想状況の落とし子なのだ。戦後、日本では祖国否定の思想によって学界、教育界、マスコミが支配され、日本肯定思想は異端視され、罵倒されてきた。台湾では二十年間続いた李登輝・陳水扁台湾人政権でも蒋介石によって台湾に持ち込まれた台湾軽視の大中国思想を抹消することができなかった。

高金素梅をここまで大胆にさせたのは、もちろん背後にある中国の存在であろう。しかしもっと深く考えれば、中国に対する媚びが日本全体に蔓延しなければ、果たしてこれほど不埒な行為ができたのかとも思う。日台両国の愛国者が、喜んで中国のコマを演じる彼女を批判するのはもっともだが、自らの戦略的錯誤も反省すべきではなかろうか。


靖国へ行く前にこんな風に名前忘れましたが社民党党首と会談しております


その後8月22日中国詣でに行つてゐるのです

2 件のコメント:

副長 さんのコメント...

不覚でした。こんな事をさせてしまって恥ずかしい限りです。

Unknown さんのコメント...

来年もまたやって来るのではないでしょうか、入国禁止にしたり、逮捕状を出したりすると逃げられるので、来年日本に入国した時点で捕縛しなければなりませんね、しかし誰が捕縛するかそこが問題ですね。