2012年4月1日日曜日
アウンサウンスーチー氏が絶対大統領になれないという仕組み
2008年2月当時のビルマ軍政は5月国民投票を実施しすることを発表、2010年にこれに基づく新憲法のもと総選挙を実施した。これはビルマ軍政が民主化ロードマップに沿った措置である。
またビルマ軍政は5月に新憲法の是非を問う国民投票を実施した。その結果投票率98%、賛成92,48%の国民の高い得票を得て、新憲法が信任を得たと当局は発表した。この結果を受け軍政は5月29日に新憲法を布告した。
国民投票の直前にはご記憶にあるだろうか、大型サイクロン・ナルギスがヤンゴンを直撃し被災者240万人行方不明者14万ににも昇る大災害を巻き起こした直後、この選挙投票結果の信憑性に疑問を投げかけることとなった。
軍政には国民投票を強行に実施した理由がある。1990年に一度総選挙を実施しているが、この時アウンサウンスーチー率いる国民民主連盟(NLD)が議席の8割を獲得した。国家統一党は惨敗し、軍政は政権移譲を拒み、選挙結果を反故にし居続けたのである。その結果国際社会からまた民主化勢力から正当性を持たない権力として批判を受けてきた。
軍としたこの批判をかわすためにも、もう一度総選挙を実施し国民の信を問うしか無かったのである。しかし自ら人気がない国軍はもう一度選挙をやれば負けることはわかっていた。
そこで新憲法の中選挙結果がどうであれ国軍が恒久的に国政に関与し、一定の権力を維持できるような仕組みを作り上げたのである、しかし非民主的な憲法だと国内外からの批判を避けるため、国民投票で圧倒的多数で可決されたという体裁が欲しかったのである。
連邦議会は2院制で人民代表院と民族代表院の2院によって構成される。人民代表院の議席数うは最大440人であるがこの内最大110人を国軍司令官が指名する。民族代表院は最大224人で、このうち168人が14の州、管区から12人続選挙で選ばれ、残り56人は各州、管区より4人ずつ国軍司令官が指名する事になっている。
定数664人も内選挙を行わない軍の議席は166で約4分の1に達する、また現在を観てみると親国軍の政党と言われる連邦団結発展協会(USDA)が全議席の8割を占める。
大統領の選出に関して各代表から1名の副大統領を選ぶ。人民代表院、民族代表院、軍人代表院、しかし全代表院に軍人が圧倒的多数なので殆ど軍人になることは間違いない。
現在のティンセイン大統領はこの様にして選ばれているのである。軍人出身のティンセイン大統領であるが2010年に新憲法の下選ばれた正当性のある大統領であることは間違いない、また2011年にはこの様な憲法であるがロードマップに従い民政移管も成し遂げている。
大統領の資格、国家及び国民に忠実であること、ミャンマー国民であること、45歳以上であること、20年以上ミャンマーに連続して移住した者であることに加えて、政治、行政、経済、軍事、に精通していること、及び本人、両親、配偶者、子供とその配偶者のいずれかが外国政府の影響下にあったり、外国籍であったりしてはならないと規定している。
大統領になるにあたってはあたりまえのことであるが、軍事に精通している事だけは軍人に有利であるが後は特別なものではない。しかし配偶者(現在はいませんが)や子供が外国籍のアウンサウンスーチー氏は、これに照らし合わせれば大統領にはなれないということになる。
3年後の総選挙を見据えた上で、今回の補欠選挙でアウンサウンスー・チーし率いる国民民主連盟が大勝ちすれば現在のティンセイン大統領もただ見過ごすことは出来ない、何れかのポストを与え共存も道を模索するか、若しくは圧倒的多数を背景に、無視するか、後出は考えられないので前出を選ぶのではないかと思うのである。
アウンサウンスーチー氏率いる国民民主連盟は今後憲法改正を見据えた動きに出てくるのであろうがその鍵は少数民族との連帯にあるのではなかろうかと思うのである。
本日朝のタイPBSニュース投票所を訪れたアウンサウンスーチー氏
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